HOME 事業案内 製品案内 会社案内 お問い合わせ

『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。
登録フォーム
解除フォーム
まぐまぐ
『まぐまぐ!』から発行しています。

■ メールマガジン
・・・・・・・バックナンバー第021号

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<<前号最新号次号>>






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ・・・これからの住宅設計・・・      第021号(2007.08.30)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「鍛錬を感じる空間」
 02 住宅設計入門--------------No.21 意識の方向について 
 03 マンションの完成まで------No.21 工事監理-外構、植栽工事
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「鍛錬を感じる空間」

今年も夏の高校野球が終わってしまいましが、大会を通じて日々の鍛錬の大切
さを教わりました。特に1点を争うゲームでのグラブトスによるスクイズ阻止、
ゲーム終盤におけるただ1球の失投を見逃さないホームラン、日々の努力によ
る鍛錬が無ければ出来なかったことだと思います。自分の子供の世代と言って
よい若い人から多くのことを教わりました。高校野球に限らず、スポーツを通
じて身近に鍛錬、熟練の技術に接することが出来ます。自分の生活に照らし合
わせ、多くの教訓を得る機会を与えてくれます。

私が育った家は在来工法の戸建住宅であったので、家の中にも鍛錬を重ねた技
術をみることが出来ました。柱、長押、鴨居、敷居、竿縁天井などを見ている
と、ノミやカンナの音が聞こえてくるような気がしたものです。建物に調子が
悪い部分があると職人が来て直してくれましたが、その作業を飽きずに一日中
見ているような子供でした。職人が直してくれて気持ちよく動くようになった
建具を滑らせ、自分が直したように悦に入っていたことを思い出します。

鉄筋コンクリートの住宅であっても、綺麗に打ちあがった打ち放しの壁や、キ
チッと並んでいるタイルなどに同じ感情を持つことが出来ます。ただ最近は住
宅も商品化の傾向が進み機能優先、経済優先で空間の中に鍛錬を感じることが
少なくなってしまったのは残念なことです。メリットもあることなので否定は
出来ませんが、何か生活の中に人の手を感じさせるものが必要な気がします。

工業化が進む中でも、家具には鍛錬された技術を感じることが出来るものがあ
ります。少し値段は高いですが、著名なデザイナーが創った家具は長い時間見
ていても飽きません。思い通りの形を実現させるには技術的にも優れていなく
てはならず、ディテールも感心させられます。工業デザインにも優れた作品が
多くなり、才能を持った人が労力を重ねた跡を感じさせる商品が増えてきたよ
うに感じます。ただこちらは一時的な収益アップの為に奇を衒ったものも少く
ないので、ロングランを続けている商品から気に入ったものを選ぶのが得策だ
と思います。

スポーツは日々感動を伝えてくれますが、家の中に存在する物もそこに住む人
に影響を与えているのではないでしょうか。生活空間の中に鍛錬された技術を
持ち込むことは、想像力を膨らませ、自分の生活を見直し律する機会を与えて
くれます。そして物に対する愛着や創る喜び、技術に対する敬意を育んでくれ
ると思います。家の中のスタープレーヤーを探して見ることをお勧めします。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第21回のテーマは「意識の方向について」

同じような平面図であっても、実際に出来た空間がとても違って感じることが
あります。この違いはどこから生じるか考えてみると、大きな要因の一つに空
間に対する意識の方向を巧みに設計に生かしていることが挙げられます。

空間の意識の方向とは、例えば斜面の下り側に向いて立つと自然に意識は下
(地面)の方向に働きます。逆に登り方向を向けば上(空)の方向に働きま
す。この意識の方向を住宅の中に取り入れれば、工夫次第で色々な空間構成が
考えられ豊かな空間を創る一助になります。

階段の上り下りに於いては、上るときに意識は上に向き下るときは下に向きま
す。そのときの視線を上手く利用して、窓の高さを変えたり絵画や写真を飾っ
たりすることで空間に対する印象は大分変ってくるはずです。また何も無い部
屋に窓が一つだけある場合、部屋に入った瞬間意識はその窓に集中します。そ
こにアンティークな家具を置けば、窓よりも家具の方に意識は向かうと思いま
す。窓から素晴らしい景色が見えるのであれば、窓のある面に家具を置かない
ほうが効果的です。特に意識しないのであれば、家具などを置いて部屋を彩っ
たほうが良いこともあると思います。

以前に扉の開き勝手の基本について説明させていただいたことがありましたが
、部屋の一番見せたい部分が扉を開けた瞬間に見えるように開き勝手を決める
ことがあります。これも意識の方向を利用した方法です。また天井を高くし折
上げ天井にしたりして意匠にこっているのであれば、豪奢な照明を吊れること
により意識を天井に向けることが出来ます。

住宅の間取が決まったらいろいろなポジションで意識はどの方向に向かうか考
えそれを上手く利用したり、逆に意識を効果的な方向に向かわせる工夫をした
りすることは、豊かな空間を創る一つの手法です。間取が決まった時点で創造
をストップせず、そこから色々考えることは楽しいことだと思いますので、そ
の材料の一つとして覚えておいていただきたいと思います。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No21 「工事監理-外構、植栽工事」

外壁タイル工事が完了すると、足場がとれ建物外周の工事を行います。外構工
事、植栽工事は短期間に工事が進み仕上がった状況が次々と目の前に表れるの
で設計者としては結構刺激的です。竣工間際という時期であり、毎日のように
現場に顔を出していることが多いですが、日々変化があり見る見る出来上がっ
て行きます。

外構工事で注意しなければならないのは雨水の処理です。行政庁(市町村、区
役所等)によって設計段階で雨水をどうやって処理するか指導があり、それに
従っていないと検査に合格せず修正をしなければなりません。具体的には前面
道路に直接流せる敷地内の雨水量を制限しています。また公共下水道に流せる
水量も制限があり、貯留槽を設けて流用を制限しながら処理をしたり、敷地内
に浸透処理することを指導されます。設計段階で図面を提出して認可を受けて
いますのでその図面に従って工事を進めます。

雨水貯留槽を設ける場合は、雨水枡を設け敷地内で雨水を集水することになり
ます。この場合勾配をきちんととらないと水溜りが出来てしまうので気をつけ
なければなりません。また仕上げをする前に地面をしっかり締め固めないと、
所々で仕上面が沈み水溜りが出来てしまうので注意が必要です。敷地内で雨水
を浸透させる場合は、浸透性のある仕上材を使い直接地面に浸透させる方法と
一度集水してから、浸透菅や浸透枡を用いて処理する方法があり併用される場
合が多いです。

植栽工事に関しても、緑化対策として行政庁から指導があります。こちらも設
計段階で緑化計画書を提出して認可を受けます。指導される内容は緑化面積、
低中高木の割合、屋上緑化、壁面緑化、接道緑化等です。全てが必要というわ
けではなく、最低限必要な割合が決められている項目もありますが、基本的に
は幾つかの規定を組み合わせ、基準に沿って換算し面積が確保されれば許可さ
れます。しかし簡単に考えていると大きな問題になることがあります。東京都
の場合は条例となっていますので、守らない場合は罰則もあります。緑化面積
が確保できないと、最悪の場合建築面積を小さくしなければならなくなること
もあり、それを避ける為に金額がかかる特殊工法を選択しなくてはならなくな
った結果、追加工事費を請求されることもあります。事前の計画をしっかりし
ておくことが大切です。

マンションの場合、高木の落葉樹はメンテナンスの面で嫌われます。冬でも葉
が残る常緑樹を指定されることが多いです。季節感があるサクラやイチョウを
植えたいところですが、落葉が多く毛虫や銀杏の臭いの問題もあり却下される
のはほぼ間違いありません。クスノキ、ゲッケイジュ、ヤマモモなどをよく使
います。生垣には、ベニカナメモチが常緑で紅色の若葉が美しく人気がありま
す。ポイント的に落葉樹であってもモミジやハナミズキなどはよく植えられま
す。

外構部分は雨風に晒され、人や車が通行する部分なので直ぐに汚れてしまいま
す。それなりの高価な材料を使っていても表面にほこりや土砂がつまり日時と
共に色あせます。それだけに竣工時の外構部分はとても美しく感じ、アスファ
ルトを敷いただけの部分でさえ黒く輝いて見えます。ほんのりと暖かいアスフ
ァルトを見て工事の完了を感じるのは私だけではないと思います。


次回は竣工検査(官公庁、審査機関)を紹介させていただきます。





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「苦労しなければ設計は覚えられない」

この言葉は私が長い間お世話になった設計事務所の上司に言われた言葉です。
どんな仕事であっても苦労を重ねて仕事を覚えていくものですが、設計の仕事
に関わる苦労とは何を指しているか、わかりかけたときにいわれたので印象に
残っています。

建築の設計は自由業的な部分があり安定した生活を得るためというより、建築
が好きであったり設計の素養があったりする人が設計の職業を選ぶことが多い
と思います。建築家として世間に認められる人はごく一部でなかなか報われる
ことはありませんが、好きでやっている以上、作業時間が長かったり給料が安
かったりすることは苦労ではないと思います。むしろ長時間仕事をすることは
多くの知識を与えてくれるし、徹夜で作業を終わらせれば充実感を与えてくれ
ます。若い頃はそれを苦労とは思いませんでした。

私が建築の設計における苦労を感じたのは、自分の責任が果たせるかどうか瀬
戸際に立たされたときです。膨大な作業が残り、解決しなければいけない問題
が多く残されていて何処かに逃げたくなるような状況になり、その難局を何と
かギリギリ乗り越えたとき苦労をしたと感じました。切羽詰った状況になった
場合逃げずに頑張ると、何とか切り抜けるアイディアが浮かぶものです。恐ら
く名前を残した建築家や経営者、政治家等の方々はその連続だったのではない
でしょうか。

この言葉を聴いたときの状況ははっきり覚えていないのですが、私も若かった
ので、結果的にそうなったにせよ苦労を強いられる状況をつくった上司を批判
するようなことを言ったときに返ってきた言葉だと思います。一度苦労を味わ
うと、そのような状況にならないために避けるようになるか、自分の立場を受
け入れて立ち向かうようになるかによってその人の将来像が大きく変わってく
る気がします。この言葉を聴いていなければ、私は苦労を避けることばかり考
えていたかも知れません。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                   http://www.commonplace.jp/
                     
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C)2007 commonplace studio ALL Rights Reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




















コモンプレイス スタジオ Copyright(C) 2007-2011 commonplace studio All rights reserved.