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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・バックナンバー第028号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第028号(2007.11.23)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「一心不乱」
 02 住宅設計入門--------------No.28 段差を考える
 03 建築材料めぐり------------No.02 フローリング
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「一心不乱」

住宅を建てようと思い立ったとき、色々な心配が思い浮かび計画がなかなか前
へ進まず悩まれている方は多いと思います。住宅の設計をしていても同じよう
な悩みを持つことがあります。施主の要望が強い場合何とかそれに答えたいと
思ったり、貯金を全て使いその上数十年のローンを組んで住宅をつくる施主の
人生がかかっていると思うとなかなか仕事が前に進まないものです。そんな障
壁を突き破るには一心不乱に図面に立ち向かうしかありません。ベストを尽く
しそれでダメなら仕方がないと腹をくくり、頭を働かせ手を動かし仕事を進め
て行きます。

締め切り間際で忙しさがピークの時、30時間ぐらい続けて仕事をしたことがあ
りました。決してだらだらと時間を使っているのではなく自分としてはフル回
転だったと思います。人の集中力が続くのは1時間から2時間程度と言われます
が、火事場の馬鹿力ではありませんが、尻に火がつくと思いがけない力が出る
ものです。目の前の作業をとにかく片付け無ければどうにもならない状況で、
一つ終わるとまた次とこなしていかなければなりません。最後の数時間は完璧
は不可能なのでどうまとめるかということに全能力を傾けます。時間の経過は
恐ろしく早く雑念は殆ど浮かびません。そしてフラフラになりながら図面を届
け何とか危機を乗り越えますが、その疲労は3日間ぐらい消えません。

忙しさのピークが過ぎると、日常的な生活に戻りまた一歩進んでは立ち止まっ
て考える状況に戻ります。どんなに自分に鞭打って頑張ろうと思っても仕事を
していくうちに雑念が浮かび、睡魔も襲い集中力は剥ぎ取られてゆきます。あ
のピーク時の状況が維持できればきっと人生の中で何かをやり遂げられると思
うのですが、なかなか難しいようです。

こんな凡人の私でも若いときの一時期、毎日一心不乱に建築に立ち向かえると
きがありました。仕事を覚え始め建築に対する受容力が急激に広がり、以前な
ら10日かかって受容できた情報が1日で受け入れられるような気がしていまし
た。一日が短く土日に仕事に出ても苦痛ではなかったことを思い出します。し
かし一通り仕事を覚えてしまうと、同じことを無難に繰り返せば生きていける
こと覚えてしまい一心不乱に進むことは出来なくなってしまいました。

自分の道を究め、名前を残した人たちは高みに向かい常に一心不乱に自分の道
を歩み続けた結果だと思います。最近では名医と言われる人たちやイチロー選
手などの言動をみてそう感じることが良くあります。当然多くの素質を持って
いるからそれが出来ると思いますが、ただでさえかなわぬ相手に時間的経過に
よってその差がはるかに広がっていることに気がつき愕然としてしまいます。

建築の設計をしている以上、建築に対して一心不乱に立ち向かう気持ちが無け
れば設計者としての資格がないと思います。ありがたいことに独立を機に私も
若いときの感覚が戻りかけています。長時間続ければ睡魔も襲うし、雑念も浮
かびます。でもそんなこと気にせずに目の前の仕事にひたすら立ち向かうこと
が大切で、それを続けることにより前に進む気持ちが雑念を凌駕し決断する力
だけは身についてきました。そしてだらだらと身に着けていた知識が系統的に
結びつき建築に対する興味が再び湧いて来ています。

仕事が忙しく住宅について何も考えることが出来ないとお嘆きの方々は、意外
と仕事に集中することで問題は解決するかも知れません。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第28回のテーマは「段差を考える」

住宅には色々な理由により多くの段差が生じます。木造の住宅であれば床下の
換気を確保する為に敷地と段差が生じ、道路からの雨水浸入を防ぐ為に敷地と
道路には段差を設けます。また風により雨水の吹き込みを防ぐ為に玄関扉や掃
きだしの窓のある床レベルは、屋外床レベルより数センチ高くするのが普通で
す。その他浴槽は床から大きく立ち上がり、洋室と和室の間では畳の厚さの段
差が生じることが良くあります。

これに対して住む者が安全で使いやすい段差があり、住宅を成立させる為のレ
ベル差との調整が住宅設計にとても大きなウエイトを占めています。その家に
住む者が若者か高齢者か、車椅子を使用するかしないか、その土地が雨水の溜
まりやすい低い位置にあるかどうかなどを総合的に考えて答えを導き出さなけ
ればなりません。

色々な意味で段差が集中する玄関を例に考えてみることにします。施主の家族
には車椅子を使用する者がいて、若者、高齢者も一緒に住んでいて雨が多い地
域で土地も比較的低い位置にあるとします。こうなると機械的処置をする以外
はスロープを設けなければ計画は成立ちません。スロープは1/14程度の緩やか
な勾配にする必要があり、20センチ程度の段差でも3メートル近くの長さが必
要になります。車椅子が抵抗を感じず乗り越えられる段差は通常1センチ以下
です。玄関と外部床とのレベル差を考えると雨水の吹き込みに注意しなければ
なりません。またお年寄りが靴を履く為には玄関土間と上框のレベル差は20セ
ンチ程度ほしいところです。一寸考えただけで多くの問題が出てきます。

上記の問題の一般的な解決方法を考えてみると、玄関前に敷地を確保してスロ
ープをつくり、玄関先にかかる庇の奥行を深くして、玄関の床レベルと外部の
床レベルを同じにしても雨水の吹込みが無いようにします。上框の近くに手摺
と下駄箱に収納できる椅子を用意し高齢者が靴を履きやすくします。玄関扉は
引戸にして車椅子の出入りに支障がないようします。何とかなりそうな気がし
てきましたが、現実的にスロープの敷地が確保できないとか、靴を履く度に収
納式の椅子を出し入れするのが面倒といった問題は残ります。

別案としてもう一つ出入り口をつくってしまう案が考えられます。玄関は若者
、高齢者が使いやすく雨水の問題も無いような段差を確保したものをつくり、
別に住宅に併設するガレージに直接入れる出入り口を設けます。ガレージ内の
床に勾配を付ければ、段差解消用のスロープとなります。ガレージ内から室内
に入る出入り口であれば雨水の問題も解決できます。同時に車を降りて直ぐに
家の中に入ることが出来る動線も確保でき、荷物が多いときなどとても便利で
す。

あるデベロッパーの社長が竣工したマンションを見に来たときに、和室とLDに
段差がないことに気付き、「これからは段差を大きく取る時代が来る」と話し
て下さいました。高齢者のことを考慮して段差をなくしたのですが、つまずき
に拠る危険を解消できても、床に座って立ち上がる行為が高齢者には結構辛く
、30センチほどの段差があったほうが楽に和室に上がることができるというこ
とでした。私はお話を伺いながら、加えてLDに椅子に座った視線と和室の床に
座った視線の高さが近くなりコミュニケーションにもいい効果をもたらすと思
いました。

多くの問題が存在しても、発想の転換により問題ががない時よりも面白い住宅
が出来ることはよくあることだと思います。上手く行かないことにぶつかって
も問題の本質に戻って考え続ければよいアイディアが生まれ、それが新しい住
宅を創る力になります。





///// 03 建築材料めぐり //////

建物と建築材料の関係を考えながら、メーカーのホームページを通じてそれぞ
れの材料を紹介させていただきます。(新連載)


   No02 「フローリング」

日本の住宅も洋室中心となり、床の仕上材としてフローリングが良く使われる
ようになりました。カーペットよりも清潔で自然の趣もあり広く普及していま
す。フローリングは丈夫で耐用年数は20年程度といわれています。それだけに
画一的な商品が多く個性を求めることは難しい状況かも知れません。ご紹介さ
せていただいているホームページの中には個性的なフローリングを用意してい
るメーカーもあるので、興味のある方は探索してください。

一般に販売されているフローリングは複合フローリングと単層フローリングの
2種類に大別されます。複合フローリングは合板に化粧材を貼った構成になっ
ていて、化粧材に天然木を薄くスライスしたものを使用していることが多いで
す。マンションで使われているフローリングの多くはこのタイプで、化粧材の
厚さによって仕様が変り当然厚くなるほど深みのある美しさが期待できます。
0.3ミリぐらいから2ミリ以上のものもあり様々です。サンプルなど小さいもの
は手に入りますが、ある程度大きな面積で見ないと違いはわかりにくいかも知
れません。ショールームなどに足を運び御覧になり検討されることをお勧めし
ます。耐久性や値段も大分違いますので、マンションや建売住宅を購入の際は
仕様を確認したほうが良いと思います。天然木の他に特殊シートやフィルムを
使用した化粧材もあります。デザインの多様性を求めたり水廻りに利用する際
よく使われます。

複合フローリングは合板の下に緩衝材をいれてある商品が多く、物を落とした
時の衝撃を和らげ下階に音が伝わりにくくします。個人的な経験的として竣工
検査のときフローリングの上で長時間作業を続けていると緩衝材を入れてある
フローリングはカチカチのフローリングに比べ疲れにくいです。ただ同時にふ
わふわした感触が板の間らしくなく違和感を感じます。

単層フローリングは天然木そのままのフローリングです。自然の味わいがあり
木の呼吸が感じられ本来はこちらをお勧めしたいとこです。欠点としては反り
があること、節などが存在することがあり、必ずしも美しい木目にめぐり逢え
ないことが考えられます。それも自然の一部と考えられれば問題はないと思い
ますが、受け止め方に個人差があると思います。ただ年月を重ねていくうちに
味わいが深くなり愛着を持てる材料であることは間違いありません。

床暖房が普及していますが、フローリングには床暖対応のものと対応していな
いものがあるので注意が必要です。またコルクは温かみのある材料として人気
が高く、表面材の改良により耐久性も向上しています。ホームページを紹介さ
せていただきますので御覧下さい。



永大産業  http://www.eidai.com/product/flooring/index.html

ABC商会   http://www.abc-t.co.jp/products/material/floor/flooring/

池上産業  http://www.woodwise.jp/index.html

東京工営  http://www.tokyokoei.com/

シード   http://www.seed21.co.jp/

神戸コルク http://www.kobecork.co.jp/

東亜コルク http://www.toa-cork.co.jp/





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家、恩師、仕事仲間や書籍等のなかで印象に残った言葉
を紹介させていただきます。


    「建築家は同時に複数のことを考えなければならない」

この言葉は建築専門誌の中に掲載され建築家内井昭蔵氏の言葉です。内井昭蔵
さんの事務所では1人の担当者に必ず複数の作品を同時に担当させるようにし
ていたそうです。建築の設計はやらなければならないことが多く、1人で全て
を行うのは不可能です。事務所のチーフ格の立場であれば同時に沢山の作品に
関わりますが、実際に実務をこなす者が複数の作品を担当するとすれば、1人
の担当者が一つの作品に対する関わり方が少なくなり、このような方法はアト
リエ系の事務所では積極的に行われていない方法だと思います。内井昭蔵さん
の事務所は規模も大きくアトリエ事務所とは言えないと思いますが、作品の質
で勝負している事務所ですから私は担当者がしっかり一つの作品に集中して作
品を残していると思っていました。

なぜこのような方法を取っているかというと、建築家は多くのことを同時に思
考しその中からよいアイディアが生まれてくるという考え方が基本になってい
ます。ある作品に関わっていて全く良いデザインもアイディアも浮かばない状
況のとき、別の作品の仕事をしているときに解決案が思い浮かぶことは良くあ
ることです。このことはものを創る仕事をされている方にはご理解いただける
と思います。

もう一つの理由は建築家は美しさ、便利さ、丈夫さ、法規制等多くの条件をク
リアしながら建物を設計していきますが、このうちどれが欠けても建物は成立
ちません。誰もが感動するような美しい建物でも、構造的に成立っていなけれ
ばつくることは出来ないのです。多くの条件を同時に考える能力が無ければ建
築家を職業とすることは出来ないはずです。つまり設計者にとって当然持ち合
わせるべき素養として解釈している故、複数の作品を同時に担当させることに
躊躇しないわけです。

この記事を読んだ時分、私は多くの雑務に囲まれながら自分の担当する建物を
設計する作業を続けている状況でした。もっとじっくりと一つの作品と向かい
合いたいと思っていた私はこの言葉に出会い自分の甘さに気付かされました。
そしてその後の経験に於いて複数の作品が関連して多くのアイディアが浮かぶ
ことを学びました。風呂敷を広げながら、しっかり目標を達成させて行くこと
が大切です。





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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                 http://www.commonplace.jp/
                  
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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