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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・バックナンバー第057号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第057号(2012.06.29)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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東日本大震災により被災された皆様、ご家族、関係者の皆様に心よりお見舞い
申し上げます。被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。



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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘

※集合住宅の計画案(ボリュームチェック)を行います。長年の経験に基づく
 提案をさせていただきますのでご相談下さい。

※木造住宅の耐震診断、耐震補強のページをホームページに公開しました。

※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/



■目次

 01 コラム -----------------「生命感の無い住宅」
 02 住宅設計入門--------------No.57 否定の流儀
 03 word of life--------------No.05 木造耐震基準の変遷
 


///// 01 コラム //////


「生命感の無い住宅」

最近住宅街を歩いていると、風景が変わってきていることを感じます。住宅
(集合住宅を含む)が廻りの空気とは別に漠然と存在する違和感をとても感じ
ます。なにか含み笑いをしている住宅に囲まれているような気持ち悪さです。
どの住宅も小奇麗でそれなりにデザインされているように見えますが、心動か
されるものが何も無い。建物として成立させるための試行錯誤やつくり手の温
もりが感じられないからだと思います。カタログで選んだものをポンと置き、
それで全てうまくいっているような白々しさが含み笑いの原因でしょう。

なぜこのような街になってきているのか理由の一つとして、国の政策による法
規制と優遇制度が挙げられます。平成12年に住宅性能表示制度ができ、住宅の
性能が数値化されて表示されるようになりました。また、平成21年には改正省
エネ法、長期優良住宅法、瑕疵担履行法が施行され住宅は規制(優遇)基準に
束縛されるようになります。このこと自体は建物にとってもそこに生活する人
にとっても共益をもたらすものです。しかし、規制に縛られた住宅はどうして
も画一的なものになっていきます。住宅の性能を高めようとしたことが建築の
多様性を失わせる結果を産み、場所性、地域性、様式、建築としての文脈、施
主や設計者の意図哲学などを消し去ってしまったように思えます。その場の空
気、人の意識、知性、技術が貫かれ、その場所に建つべくして建っていると感
じられる住宅は少なくなっています。

この問題を解決するには地域性、場所性、作品性のある住宅を造れる工務店を
サポートできる仕組みをつくり、規制に沿った住宅を小さな工務店でも問題な
く造れるようにすることが大切だと思います。規制が多くかかれば、施主は安
心して任せられる大手のハウスメーカーに依頼する傾向が顕著になります。ま
た、材料の手配、仕様の均一化、ローコスト化などを求めて工務店がハウスメ
ーカーに転身することも多いようです。これでは自在に空間を造り上げる高い
技術を持った工務店が激減してしまいます。ハウスメーカーを悪者にしている
ように感じるかもしれませんが、ハウスメーカーはモダンリビングを普及させ
清潔で健康的な住宅と提供して来たことに敬意を感じています。この先、切磋
琢磨して日本の街を美しくするために高技能もった工務店に対するサポートは
必要だと思います。

もう一つの理由は分譲マンション等に於ける購入者のデザインに対する意識の
高まりです。マンションディベロッパーは事業としてマンションを建てていま
すから、どうしても短期間で完売させなければなりません。そして、デザイン
も購入者受けすることを重視します。購入者のデザインの意識が高まったとし
ても専門家でない限り、購入時に流行しているデザインや一般受けするデザイ
ンに心が動かされます。まして、販売時にはマンションは建設中でパンフレッ
トを見て購入するわけですから余計そうなると思います。精巧なプロポーショ
ン、細やかなディテール、素材が生み出す色彩のバランス、的確な開口部の配
置などは無視されるといっても良いかも知れません。住み始めて5年10年経過
するとその場所に馴染み、よさが解ってくるようなデザインは受付けられない
ことが多いと思います。その結果、一見斬新で綺麗な建物に見えるけど何処か
でみたような外観で、感動も愛情も感じることがないデザインのマンションが
沢山建ち続けています。

この問題を解決するには設計料の問題は残りますが、設計者の頑張りに頼る他
はないと思っています。今のマンションの計画における設計者の立場は脇役で
表に出ることは少ないのが現状です。昔は開発業者(一般の不動産業者)から
設計事務所に依頼があり設計事務所が中心になってマンションを設計していま
したが、当時の作品の中には後世にのこるような集合住宅の傑作が生まれてい
ます。現在は販売や仕様決定のシステムが出来上がっているので状況は異なる
と思いますが、建物に深い愛情を持った設計者が丹精込めて創ったマンション
が受け入れられないことは無いと思います。才を尽くし、能を尽くし、労を尽
くし、言葉を尽くして脇役から抜け出せるように頑張らなくてはなりません。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第57回のテーマは「否定の流儀」

住宅を設計するとき、最初に良いと思ったことはなかなか変更できないもので
す。まして、そのことをベースにある程度作業を進めてしまった場合、それま
でにかけた労力も重荷になり変更することなど考えられないと思うようになり
ます。それが後々大変なリスクを生み出してしまったというようなことは建築
の設計ではよく有ります。他の仕事でも似たような経験をされている方は多い
と思います。自分が良いと思ったことを否定したり、他人から進められたこと
や一般に正しいとされていることを否定することは勇気が必要です。しかし、
私が学生のときそれが出来ないと良い作品を創ることは出来ないと卒業生から
教わりました。

自分で決めたことであっても、他人からのアドバイスであっても一度自分が正
しいと思ったことを否定することは己を否定することになります。他人の批判
は出来ても自分自身を批判することは難しいことだと思いますが、これが出来
なくては成長できません。特に建築の設計に於いては絶対的な解答がないこと
が多く、自問自答の連続になります。だから自分にどれだけ厳しくなれるかど
うか、どれだけ高い意識を持つことが出るかということが大切になってきま
す。また、なるべく人を巻き込まないようにする必要もあります。自分が決め
たことで作業が進み、それが己の信条に反すると気付いたからといって作業を
中断することは通常出来ません。もし、どうしても変更するのであればそれま
でに掛かった費用等を補償しなければならなくなります。設計作業ではなるべ
く全体が見えてくるまで他者に口外しないようにし、伝えなければならないこ
とで変更の可能性がある場合はその旨を伝えることが大切です。

ここで申し上げていることは自分の家を計画されている方々にも通じることだ
と思います。間取り考えるときも、あるこだわりをなくすことによって最初に
考えていた間取りよりずっと良いものが出来ることがよくあります。テクニッ
クとして、部分的なことを変更したときは一度白紙に戻って最初から間取りを
考え直した方が良い結果が生まれるはずです。
否定の流儀で大切なのは「急がば回れ」と「他人に優しく、自分に厳しく」と
いうことではないでしょうか。




///// 03 word of life //////

ここでは住生活にかかわる言葉を取り上げ、その言葉と住宅の関りについて考
えてます。
社会現象用語から商品名まで幅広く取り上げて行きたいと思います。

第5回のテーマは「木造耐震基準の変遷」

建築基準法で定められている耐震基準は意外な程時代と供に変化しています。
この流れを知ることにより今住んでいる家の耐震性能を予測することが出来ま
す。勿論、古い住宅であっても基準以上の仕様で造っていることもあるし、逆
に新しい住宅であっても施工不良や不整形な平面計画等により基準以下の耐震
性能しかない場合もありますが、大多数の建物は法規が求める基準にかなりの
影響を受けているはずです。ここで説明させていただく耐震基準は木造に限ら
せていただきますが同時期に木造以外の改正も行なわれています。


・建築基準法制定前

1920年(大正9年)に市街地建築物法が施行されました。構造基準などが定め
られていましたが筋かい(壁の中に斜材を入れて補強するもの)の規定はあり
ませんでした。1923年(大正12年)に関東大震災が発生し多くの建物が倒壊し
たため、筋かいの重要性が認識され1924年(大正13年)に市街地建築法が大改
正されます。ここで筋かいを用いた耐震規定が新設されます。


・建築基準法制定から新耐震設計基準制定前まで

1950年(昭和25年)市街地建築物法が廃止され建築基準法が制定されます。こ
の時、現在でも用いられている「壁量規定」が制定されています。
「壁量規定」は床面積に応じて必要な壁の長さを規定し壁の補強(筋かい等)
に応じて壁倍率を定めています。例えば10メートルの壁長が必要な建物の場合
で壁倍率1.0の壁であれば10メートル以上の壁が必要となりますが壁倍率2.0の
壁であれば5メートル以上の壁で済みます。1959年(昭和34年)に建築基準法
の改正が行なわれます。この時、なぜか壁倍率が緩和されていることに驚きま
す。漆喰などの塗り壁の下地に使われる使われる木ずり壁(両面)の壁倍率が
0.5から3.0に引き上げられています。(現在は1.0)この改正が阪神・淡路大
震災で多くの倒壊建築を発生させた一つの原因になっていると考えられます。
1971年(昭和46年)の建築基準法施行令改正では風圧力に対する必要壁量の規
定が設けられました。


・新耐震設計基準以後

1981年(昭和56年)の建築基準法施行令の改正で新耐震設計基準が制定され耐
震設計法が抜本的に見直されました。よく、1981以降に建てられた建物である
かどうかが問題にされるのはこの改正が行なわれたからです。木造に於いては
「壁量規定」が改正され以前よりも厳しいものになっています。また、構造用
合板による壁補強の規定も追加されています。そして、2000年(平成12年)の
建築基準法改正により木造住宅の耐震基準が大きく改定されています。地耐力
により基礎の種類が特定され、地耐力調査が事実上義務化されました。そして
、筋かいの端部と耐力壁に掛かる柱の柱頭・柱脚部分の仕様が明確にされ規定
に合った仕口金物等を用いることが定められています。さらに耐力壁の配置も
規定されるようになり簡易計算(四分割法)または偏心率計算をすることも規
定しています。木造に関しては1981年の改正よりもこの改正の方が大きな改正
と思われます。その結果、木造住宅の耐震強度は向上し東日本大震災でもその
効果が実証されました。
多くの自治体で1981年以前(新耐震設計基準制定以前)に建てられた住宅を対
象に耐震診断及び補強の補助が行なわれています。これは壁量規定が1981年に
改正されたことが主な理由だとと思いますが、本来ならば2000年以前の住宅を
対象にすべきです。対象件数が多くなってしまうため1981年以前としているこ
とが推測できます。

大きな法改正を節目として耐震基準の変遷をご紹介しましたが、それぞれの時
代の建築基準法は最低基準を示している過ぎません。今後、地震活動が活発に
なったり、建物崩壊に関する新しい発見があれば更に改正が加えられると思い
ます。どこまで頑丈な建物を造るかは個人の判断に委ねられています。







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■コモンプレイス スタジオは東京杉並区の一級建築士事務所です。

 小さな事務所ですが打合せスペースを設けましたので住宅設計について何か
 ご相談がある方は是非お越しください。(相談は無料です。)不在のことも
 多いので、おいでくださる方は事前に電話またはメールでご連絡お願い致し
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※集合住宅の計画案(ボリュームチェック)を行います。長年の経験に基づく
 提案をさせていただきますのでご相談下さい。


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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘 masahiro ikezawa
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